2011年12月19日

塩野七生氏 百年インタビュー要約(前半改)カエサル他

先日、NHKの百年インタビューで作家 塩野七生さんとのインタビューでした。
たいへん知性あふれるお話でした。
要約を掲載します。後日後半を掲載予定です。
・・・・・・・・以下要約・・・・・・・・・・・・・・・・・


十字軍物語を書き終えて

5ヶ月間籠城と称して、生きてる人と付き合うことを辞めていた。独房状態。

歴史の男どもを生き返らせなければならない。内臓筋肉一つ一つを目の前に創造しなければならないから。

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“読者へ

なぜローマ人だけが、あれほどの大を成すことができたのか。一大文明圏を築きあげ、それを長期にわたって維持できたのか。
またそれはただ単に広大な地域の領有を意味し、大帝国を築くことができたのも、そしてそれを長期にわたって維持できたのも、よく言われるように、軍事力のみであったのか。
そして、彼らさえも例外にはなりえなかった衰亡も、これまたよく言われるように、覇者の陥りがちな驕りによったのであろうか。
これらの疑問への答えを急ぎたくない。
人々の営々たる努力の積み重ねである歴史に対して、手軽に答えを出したのでは失礼になる。また、私からして、まだはっきりとはわかっていないのである。史実が述べられるにつれて、私も考えるが、あなたも考えてほしい。

「なぜローマ人だけが」と。“
「ローマ人の物語T」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なぜ地中海世界だったんですか

日比谷高校に好きな男の子を追っかけてっただけ。ホメロスのイリヤス物語を読んでこれだわと思いました。登場するアキレスに惚れました。「塩野さんはギリシャ風邪にかかっているんだよ」と言われていて、大学の受験勉強を辞めてギリシャ三昧でした。

私はちゃらんぽらんな女で、好きになった男にすぐに染まってしまいました。


動機が、人様にあまりほめていただけるようなものではなかったです。男には執念深くなかったですが、自分がやりたい事には執念深いところがあり今に続きました。

「ローマ人の物語」では、パドリアヌス帝の性格を最も現わしてる像を選んできました。地図を多用しますが、地図は執筆者が理解している範囲でしか書けないものです。私は白地図を一から作って見せています。


映像やコンピュータグラフィックスでは、照り付ける太陽の暑さが伝えられない、風の流れが伝えられない、人間の汗の流れが伝えられない。

その人を書くにはどうやって表現すればいいのか考えています。歴史上の男に私が近づいていくようにしています。


歴史学者と私の違い
それは勉強の質や量ではなくて、研究者は自分が知っていることを書く、私はわかりたいと思うことを書く。カエサルの暗殺の時
23も刺された。2刀目が致命傷だったと分ったであろう彼は、着ていたトーガを裾を見苦しくないように整えました。この男はどんな人間か知りたかった。同時代の文献(原資料)を読み彼はどう描かれていたか知り、当時の声を聞きます。対訳本のイタリア訳と英訳を読み比べ、ラテン語を読み比べているとぼんやりしていたものが、だんだんその姿がはっきり見えてきます。カエサルの筋肉の触感まで伝わってきました。これを今度は言葉で表現しなければならない。読者のもう一度見てもらわなければならないわけです。

私は歌っているだけ

ある人が私に、「塩野さんあなたはオペラを作っているんですね」と言われました。「オペラはすでにあるんです。私はオペラを歌っているだけ。」  
司馬遼太郎先生に言われました。「日本には歴史書と歴史小説しかない。あなたはその中間をいこうとしています。」じゃあ作家として商売していけるかなあと思いました。それでせめて好きのさせてくれた親への恩返しかと思って本名で出版してしまいました。


私は傍流
私は傍流でだと思っています。主流ではない。
評論家と学者とかはその作品を語るんです。私は書きたい、論じるのは好きではないです。
私はいい加減です。はじめに書き出したら波に乗って書くタイプです。映画で言うなら黒沢明スタイル。小津安二郎監督のように工程表通りに書いていくとなんか人工的になって、歴史のダイナミックな動きにならず、優等生の論文みたいになってしまうんです。


百歳までなんて
定年になる年(55歳)から
15年間で11冊。幼馴染たちは優雅な引退生活してるのに、こっちは定年も減ったくれもないって感じ。ある同年輩の読者が「あなたよくまあ書き終わるまで生きてるって確信できたもんですねえ。」と。
そのための健康法とか全然しません。

何故かって言うと、イタリアのノーベル医学賞を受賞したモンタルチーニって女医さんのインタビュー番組を見てびっくりしたことは、頭がはっきりしていること。長生きのコツを聞かれた彼女は「私は明日やる仕事が分っていること」って。

私も前の日に書いた原稿の推敲をやるって、明日やることが決まっているので同じだわって。じゃあ百歳まで生きちゃうかもって思って。いけないってこと全部しちゃおうってことで、タバコは喫うしお酒は飲むし・・・。(笑)

もし私が百歳まで生きてしまったらどうしようかって思うんです、間違いなく迷惑するのは私の息子でね。


カエサルの名言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みんなに悪い事例とされていることであっても、それがはじめられたそもそもの動機は善意によるものであった。


人間ならば誰にでも真実のすべてがみえるわけではない。多くの人は見たいと欲する現実しか見ていない。
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 シーザーという男

カエサルを書かないかと言われたけれど、30代で書けるような男ではない。
カエサルは相当ローマ的男です。それでいて締めるところを知っている。
カエサルは美男でもなくお金持ちではなく、成長株でもなかった。ポンペイウスがトップを走っていたけれど、競馬で言うなら最後の直線で追い上げてきた。
30代〜40代が面白い人物だったと思います。殺し文句を入れるから面白かった。日本の国会中継もまともなことを言っているなと思うけれど、最後の一行が足りない。それが殺し文句。言葉の力はたぶらかすこと。

もしかしたら自分たちもやれちゃうかもしれないと思わせくちゃいけない。

「あんたみたいな不実な男とはやっていけない」と言った時、「あっそう」と言うようなもの。

そして隠さなかった。愛人セルウィリア(ブルータスの母)に天然真珠を送ってローマ中の評判になった。彼はこれをくれたんだわって、女はそれだけで満足してしまう。

カエサルは、最後まで面倒を見てくれちゃったからね。

17歳の息子にブルータスと同じ状況だったらどうするって聞いたら「カエサルを殺す」って。ブルータスが殺したのは、心の葛藤があったかもしれないですね。


クレオパトラという女

書きたいのはローマの歴史です。クレオパトラが有名なのはわかります。頭がいい女で、気がきいた女、センスもあったと思います。自分が思うがまま男を操りたいと思うのが女。でも操れるのは2級の男。だからカエサルは操れなかった。

クレオパトラは一国の統治者として優れていたかといえば、彼女は落第点。彼女は墓穴を掘りました。エジプトの王朝をつぶしてしまいました。ローマの属国友好国として

日本の歴史に比べると妙によどんでいるところがあって。誇りというかそういうのに邪魔されて、本当の目的を見失っちゃうんです。一個の女性なら構わないけれど、一国のリーダーとしては大したことがなかった。

緊張の連続の2年間のガリア征服が終わって、カエサルは休養したかった。本国ローマではカエサルはどこへ行ったと大騒ぎしていたけれど。普通の男だったらここでバカンスしてちゃ具合が悪いと真っ当な考えになって、クレオパトラとの楽しいナイル川周航もご破算にしていたかもしれません。でもカエサルは全世界を心配させておいて、なんだかふらふらして楽しがっていた。楽しんだ後意表をついてローマに帰るわけです。

人間って意表をつくってのはリーダーには大事な要素ですよね。


カエサルはよく兵士たちに言ったわけです。
「自分はこれまで幸運に恵まれてきた。だから私についてきたら心配ない」って。そう言っちゃうと「そうかなあ」って兵士は思っちゃう。それで何となく勝っちゃう。すると兵士たちは「あっそうね」って。

ハッタリだけれど、これが政治的センスってことです。実現できなかったとき「嘘ついたんじゃないの。」って言われる。なぜ実現できなかったか他人に伝えなくちゃいけないわけですから。現代の政治家はごまかしたり丸めこんだり・・・しっかり説明しないですよね。

なぜハッタリが言えたかと言えば、成功しなければ命が取られてしまうから。すざまじいリスクを背負い込んでいたから。現代なら謝罪会見ぐらいでしょ、あれはリスクですか。

昔の男たちは、リスクを負わなくちゃいけないから、決断を下していこうとする。だから男らしく見えるわけ。

リーダーの資質5つ

イタリアの小中学校の歴史教育では、リーダーの資質5つを教えています。

@知力:知識ではなく頭の使い方のこと。

A    説得力:敵を背得するため。自分の考えに相手を近つけるため。

B    肉体的耐久力:皇帝なんか激務でね。マッチョではなくて持久力があること。

C    持続する意思:ぶれない心ですよね。

D    自己制御能力:地位が高くなるほど不自由になる。感情の表現もタブー。職責だと思う。

 決断力・実行力は当たり前。
この5つを満たすのはカエサルぐらいなもんです。
(後半へ)
http://uutanokayama.seesaa.net/article/241595917.html

posted by uutan at 23:50| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「あんたみたいな不実な男とはやっていけない」と言った時、「あっそう」と言うようなもの。

俺なら「もうちょっと待ってみない?」って言うけどな。
Posted by カエサル at 2013年11月10日 05:55
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